世界中の組織とさまざまなセクターの組織が、成功を導くデータ ガバナンス フレームワークの3つの具体的なアクションを認識しつつあります。 クレジットShutterstock 最初に公表されたデータ ガバナンス フレームワークはGwen Thomas氏によるもので、同氏はData Governance Institute(データ ガバナンス研究所/DGI)を設立し、2003年に素晴らしいフレームワークをオンラインに公開しました。「フレームワークはすでに使われていましたが、一般には公開されていませんでした」と同氏は振り返ります。「私は、Coors Beerから、来たるサーベインス・オクスレー監査に向けた準備を手伝ってほしいと頼まれていました。同社にはすでに技術プランがありましたが、私はそのプランに付随するデータ ガバナンス プログラムの適切な規模と構造を見つけるのをサポートしました。Coorsでの仕事を通じて、フレームワークの力を使って全員の思考と行動を同期させる例をたくさん見ました。そこで私は、どんな組織でもアクセスでき、それぞれのニーズに適応できるような、より一般的なフレームワークを書くことにしたのです。」 DGIの出版物には、データ ガバナンス プログラムに含まれるべきであると思われる構成要素が含まれています。そして、最初にデータ ガバナンス フレームワークが発表されてから20年後、新しいバージョンがオンラインに公開されました。その最初で唯一のアップデートが公開されたのは、2023年5月3日でした。それまでの間に、世界中のさまざまな業界の組織が独自のフレームワークを使ってかなりの経験を積んできましたが、その多くはDGIがもともと世界と共有していたフレームワークの影響を受けていました。今では、データ ガバナンスが最も成功するのは、CIOとCDOが次の3つのことを実行したときであることが明らかになっています。 データ ガバナンス フレームワークの定義にすべての主要な利害関係者を参加させる。「データの所有権が、そのデータに関する意思決定を行う権利と同等であると決めてかかることはできません」とThomas氏は言います。 達成したいビジネスの成果を明確にすることから始める。「価値を重視してください」と同氏はアドバイスします。「データを収集し、管理し、分析するために行うことは、すべて価値につながるものでなければなりません。」 フレームワークを使用して実行を指揮する。「データ管理とデータ活用は、一連のアクションのポートフォリオと考えるべきです」とThomas氏は説明します。「優れたフレームワークが定義されていれば、CIOは、的確にタスクが遂行され、その成果が全体的な目標達成に貢献すると十分に確信したうえで、さまざまなチームにタスクを引き継ぐことができるはずです。」 誰がフレームワークの定義に関わるべきか? 米国商務省(DOC)は、おそらく米国最大のデータ収集機関です。同省は、気象や農業データから科学データや経済データまで、あらゆるものを収集、保存、分析しています。 DOCのCDO(最高デジタル責任者)であるOliver Wise氏によると、米企業の現状に関する最も詳細なデータ収集が現在行われているといいます。この調査は、DOCを構成する多くの機関の一つである国勢調査局が5年ごとに実施しています。 「事業内容、対象顧客、収益などを、細かく質問します」とWise氏は説明します。「従業員ベースについて、従業員が契約社員なのか、パートタイムなのか、その他なのかを調べます。これらのデータは、あらゆるレベルの政策立案者が使用する米経済の状態に関する重要で普遍的な視点を提供します。」 DOCで現在進行中のもう一つの重要なプロジェクトは、サプライ チェーン政策に情報を提供するためのデータの収集と分析です。その目的は、サプライ チェーンの障害点を把握し、それを予測することで、最近のコロナ禍のようなショックに米経済がよりよく対応できるようにすることにあります。 DOCは、公的情報源から収集および生成するデータに加え、民間情報源からデータを購入したり、ライセンス供与を受けたりして、経済分析などに利用しています。「課題は、外部ソースからデータを取得する場合、そのデータの意味を理解するためにデータを正規化しなければならないことです」とWise氏は言います。 データの構造化とソースの追跡は、DOCが慎重に検討するデータ ガバナンスの多くの重要な側面のうちの2つに過ぎません。Wise氏が議長を務めるデータ ガバナンス委員会は、同局を構成する広範な機関のデータ管理とデータ ポリシーの問題に対処しています。 「データ ガバナンス フレームワークは、ニーズによって異なります」と同氏は言います。「どのような場合でも、フレームワークの定義は、すべての利害関係者が自分たちの意見も聞いてもらえると感じるような、集団的な取り組みである必要があります。そうすることで、誰もがフレームワークを利用する気になり、データ管理の一貫性が確保されます。」 データ ガバナンスの目標は何か? SiemensのCIOであるHanna Hennig氏は、事業部門が何をなぜ収集すべきなのかを把握せずにデータ収集を始めるのを見てきたと言います。「いつもお金の無駄遣いでした」と同氏は振り返ります。「解決したい問題が何であるのかがわからなければ、データ戦略を定義することはできません。」 どのデータが必要なのかを見極めるには、何が望ましいビジネス成果なのかを考え、明確に定義することから始めます。トップライン、ボトムライン、あるいはその両方に影響するかどうかにかかわらず、望ましいビジネス成果は、どのデータを収集するかを決定する原動力となります。データを特定したら、データ ガバナンス フレームワークの定義を開始できます。 フレームワークは、各データ資産を所有する人、所有者の役割、ビジネス全体でテクノロジーを使用するためにデータのキュレート方法、適格であることを保証する方法、といった質問に答えるものでなくてはなりません。データが適切にキュレートされ、フォーマット化されれば、データ分析(特にAI)がそれらのデータを利用し、組織が市場に先駆けて、意思決定するのに役立つ推奨事項を提案できます。 データの質の低さは、意思決定や提言の質の低さにつながります。データが悪ければ、市場に先駆けて、あるいは競合に先駆けて意思決定を行うことはできず、さらにひどい場合は間違った決断を下してしまうことになりかねません。Hennig氏によれば、データ ガバナンスはデータ品質を確保し、組織内の混乱を防ぐのに役立つといいます。 「フレームワークがないと、人は自分のデータを守ろうとする傾向があります」と同氏は言います。「共有がなければ、バリュー チェーンにまたがるユースケースは生まれません。データ サイロを開放できなければ、全社的なデータのメリットを享受することはできません。最大の価値は、エンドツーエンドのユースケース、たとえば製造業と販売予測計画を組み合わせたユースケースを実装できたときに生まれます。」 もう一つの重要なエンドツーエンドのユースケースは持続可能性です。これは温室効果ガス(GHG)報告の最初の3つのスコープ(スコープ1-組織が所有または制御する排出源からの直接排出量、スコープ2-組織のエネルギー消費に起因するすべての間接的な排出、スコープ3-サプライ チェーン全体の排出)を必要とします。 「3つとも、バリュー チェーン全体を見渡す必要があります」とHennig氏は説明します。「社内のデータだけでなく、サプライヤーや顧客といった社外のデータも見る必要があります。データがサイロ化していたら、これは不可能です。」 しかし何よりも、組織はデータ ガバナンスを設定する前に、どのような問題を解決したいのかを明確にする必要があるとHennig氏は言います。目標はビジネス価値を提供することであるべきなのです。 フレームワークは、チームワークをどのようにサポートするのか? 世界銀行グループの民間セクター部門である国際金融公社(IFC)でデータ ガバナンス部門を設立し、後にプライバシー部門を設立したJennifer Trotsko氏は、Gwen Thomas氏の仕事に多大な影響を受けました。 「私たちは、DGIのコンポーネントをベースに、他の主要なベンチマークを使用して独自のフレームワークを開発しました」とその後IFCのコンプライアンス リスク部門の責任者兼チーフ プライバシー オフィサーとなったTrotsko氏は説明します。基盤が整ったことで、IFCはチーム間の活動を調整できるようになりました。また、ポリシーやルールからテクノロジー、プロセスにいたるまで、すべてを共通の言葉で伝えることで、組織の各部門がフレームワークを参照し、全体的な最終状態に貢献できるようにもなりました。 「プロジェクトのビジネス価値を確立した後、まず最初に行ったのは、社内のデータ ガバナンス フレームワークにタスクをマッピングすることでした」と同氏は言います。「ポリシー分野のリーダー、テクノロジー分野のリーダー、チェンジ マネジメント分野のリーダーを任命することで、プロジェクトには明確なガードレールとマイルストーンができました。これにより、コア チームが何十もの部署を管理できるようになり、すべての重要なコンポーネントがカバーされているという確信を関係者に与えるフレームワークとなりました。要するに、全員が全体的な取り組みに対して共通のビジョンを持っていたため、責任者は実行に集中できました。」 Trotsko氏は現在、国際通貨基金(IMF)でプライバシー プログラム マネージャーを務めており、DGIデータ ガバナンス フレームワークの構築と適用を続けています。同氏によると、このフレームワークは「データの収集、保存、分析を含む大規模なプロジェクトを管理するうえで非常に貴重」です。 関連コンテンツ 特集 台頭するチーフ・トランスフォーメーション・オフィサー 広範なビジネス変革の陣頭指揮を執る新たなリーダー的役割が登場する中、ITリーダーは肩書きに関係なく、デジタル変革を推進する存在であり続けている。 著者: Beth Stackpole Nov 27, 2023 1分 IT指導者 特集 従業員エンゲージメントのために:企業文化を改善する10のベストプラクティス 著者: Christina Wood Nov 22, 2023 2分 IT指導者 特集 データアナリティクスとは何か?データでより良い意思決定を データアナリティクスとは、データから洞察を引き出すことに焦点を当てた学問分野であり、データの分析、収集、整理、保存、そしてそのためのツールや技術が含まれる。 著者: Thor Olavsrud Nov 20, 2023 2分 データ管理 特集 クラウドのコスト戦略を見直す必要に迫られるCIO – AIブームの中で 経験、ベストプラクティス、そして優れたツールにより、ITリーダーはクラウドの経済性についてより精通してきている。しかし、ジェネレーティブAIのような新たなテクノロジーやイノ 著者: Paula Rooney Nov 15, 2023 1分 クラウドコンピューティング ポッドキャスト ビデオ 資料/リソース イベント SUBSCRIBE TO OUR NEWSLETTER From our editors straight to your inbox Get started by entering your email address below. 有効なEメールアドレスを入力してください サブスクライブ